希望と媚薬

『愛の反対は憎しみではなく無関心です/マザー・テレサ』 『批判書いてる間は俺の事を考えてる。だから俺の事好きなんだなって変換してます/手越祐也』

連れていって その国

人生をかけている、といえる存在があるだろうか。


それは物でも、人でも、何でもいい。

私の「人生」そのものだといえる対象があるだろうか。




話は飛ぶようで飛ばないが、私には世界を変えてくれた人がいる。
正確には「世界のスイッチを押してくれた人達」だ。

間違いなく、この人達がいなければ今の自分はないだろうと言えるような。







ー去年の、確か秋くらいだったはず。
2018年3月20日と21日。
Perfumeがライゾマティクスと手を組んで
NHK主催で行われる特別プログラムの開催が発表された。

「‪Perfume×Technology presents "Reframe" ‬」

ライゾマティクスを主として、Perfume
これまでも日本の最先端技術を用いたライブ演出に挑戦してきた。
それは回数を重ねるごとに高難度になっていき
どんどん凄いことをやっているけど凄すぎるのと
最先端すぎてよく分からんということになっていた。
ただ3人はいつもそのストイックとプロ意識と
MIKIKO先生、スタッフさん、ファンへの想いと感謝を
背負って力を合わせて成功させてきた。

記憶に新しい「FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 docomo × Perfume 距離をなくせ。」*1も、そうだ。




誰も想像していなかった挑戦を
Perfumeならと託されて
Perfumeだからと3人は実行する。


そしていつも3人は「ひとりではできなかった」という感謝を口にする。


そんな3人が、また新しい挑戦をする。

Perfume×Technologyとは、NHKで放送された特番だが
リオオリンピックの閉会式にMIKIKO先生とライゾマティクス
所謂チームPerfumeが大きく関わっていたことで
東京オリンピック2020に向けて(これは恐らく)
開会式を想定したプログラムに挑戦するのだろうと思った。

実際に関わるかどうかは別として、
3人が新しい挑戦をする。

3人が何よりも大切にしてきた「ライブ」という場所で。


ファンの欲目かもしれないが、
エンターテイメントやステージに興味のある人ならば
「必見」の公演になるだろうということは容易に想像できた。

会場であるNHKホールのキャパは約3800人。
2日間で約7600人動員の計算。


当時は決定してなかったけど、
恐らくNHKで放送される*2とはいえ
激戦を免れないだろうことが容易に想像できた。

Perfumeがワンマンで公演をする。

これだけで私にとって
行かない理由は最初から存在しないし、
行けない場合のことは考えたくもなかった。

だから考えないようにしていた。

んだけど、チャンスは何度かあったにも関わらず全部落選だった。
全滅というやつである。


チャンスはFC先行、ぴあ先行と何度かあったが
たった1枚が取れない。

一般の販売も、幾度か復活したようだったが
タイミングを逃し続けてもうあるか分からない
制作開放席に賭けるしかなくなった。


今回は顔写真付き証明書必須の本人確認が行われる為
行くなら自力でチケットを取って名義人となるか
誰かに同行という形で譲ってもらうしかない。


一般の復活をチェックしつつ、毎日ツイッター
公演名で検索していたのだけど、当然というべきか
行ける人達のツイートや名前に公演名をいれている人達が引っかかる。

その人達も私と同じようにPerfumeが大好きで
3人のことを応援している。
私達は「ほとんど」一緒のはずだ。

ただチケットを持っていないというだけ。


それだけで私は何度も何度も打ちのめされた。

誰かの手によるものではなく、自分自身の感情にぺしゃんこにされた。

自分の中にずっとあって見ないようにしていた感情たち。
美しい人たちを愛してることで生まれる汚いそれら。

私は好きな人の望むようなファンになれないことがずっとずっと苦しかった。

好きなものを好きというだけではなく、
それを通じて好きなものが増えたり、
沢山の人とを繋がっていけたらいいよね。っていう。

多分、そういうファンじゃなくても見放したり
ましてや嫌うなんてことはしなくて
応援の形は人それぞれだも言ってくれる3人だから
だから苦しかった。*3

こういう言い方は本当に全然したくないけど、
あえてこういう表現をするなら
「健全」なファンでいれたらよかったと何度も思った。


本当は、私は「○○のファンです」と表明できる
趣味垢や専用垢というアカウントを作って
同じファンをフォローすれば、可能性は広がった。
一般の復活にだって気づけただろうし、それこそ
友達や誰かと協力しあってチケットをとったりすることも出来ただろう。

でも、どうしても出来ない。
今主に使ってるTwitterアカウントで、
プロフィールの紹介文にさりげなく書くことしか。


PerfumeのFCである「P.T.A」は
Perfumeとあなた」の頭文字であるが

私は本当にそのまま、Perfumeと私だけでいたかった。

他の誰も介入させたくなかったし、
私が私の意志で離れるならまだしも
それ以外の原因で3人から離れるなんて耐えられない。

そのリスクを冒してまでファンアカウントを作ろうとは思わなかった。

だけど、今まで何とか希望する公演には入れていたし
その為に出来ることはしてきたと思う。



Perfumeファンと判断できる要素は前述と
bio欄とヘッダー画像くらい。

私だってこんな訳わかんないアカウントからいきなり
長文DM送られてもはぁ?と思うだろうし
明らかにPerfumeのことしか好きじゃありませんと
一目で分かるようなアカウントに譲るだろう。
あなたに行ってほしいと思う人に。

だから余計にめきょめきょにやられた。

だよなぁ、と思った。
私がこういうファンだからダメで、だから3人に会わせてもらえないんだよなって思った。

こんなに梨の礫なことあるのかって思ったけど
今まで何とかなってただけで、お前みたいなのは
本来はこうなんだよって突きつけられた気分だった。


もしも同じような人がいたら、私はその人に
「ただの運だ、チケットの当選落選に人格もファンの形も関係ない」と言うと思う。
これは願望であり現実であり、時として不正解なんだけど。

ただその先、運が作用しないところでチケットが見つからなかったら。
私は私のせいだと思うだろう。自分で自分が許せないから。

それでもやっぱり行かないっていう選択はできなくて
行かないなんて、ない。
どうしても行きたい。でも行けない。チケットがない。


制作開放席の発売は仕事中だったけど、
休憩時間を調整してアクセスした。繋がることさえできなかった。

これが公式ではラストチャンスだと分かりきってただけに
今回ばかりはダメなんじゃないか?っていう思いが心の隅に出てきた。

いや、出てきたよりも、ずっとそこにあったものを
あると認めたと言った方が正しい。

3人がずっと夢を口にしてそれを叶えてきたように
私は言霊というものを信じている。
だからこうなってほしいと思うことは
できるだけ言葉にして口にするようにしている。

だけど本当にこうなってほしいと思うことは
叶わなった時のダメージが大きすぎるものは
口にできない。心の中で杭を打つように何度も呟くだけだ。


相変わらず公演名で検索していたし、公演日が近くにつれて
検索する間隔も1時間単位から数十分、十数分に変わっていったけど、
それで出てくるファンのツイートだけでなくて
公演の宣伝ツイート、3人がプロモーションしている動画ですら見られなかった。

それで余計に、ただ公演を楽しみしている人や
他にも探している多くの人をみて
諦められたら楽だろうなと思った。
同時に、諦めるとかそういうんじゃないんだよなとも思った。

好きだという気持ちの他に、色んな感情や年月や
私自身が乗っかり過ぎている。
重すぎて、降ろそうとしたら全部崩れてその下敷きになってしまうだろう。
その時はまだ来てないってことは分かっていた。


きたる20日、その日は仕事だったのだけど
帰ってきて公演名を検索しながら
最後の選択をしようと思っていた。

プラカードである。

開演時刻まで希望を捨てないっていうのが
モットーというか私の考えだから
当日の開演時間まで会場近くにプラカードを
持って立とうと思った。

実際にこれまでのPerfumeの現場やジャニーズを始めとする会場付近で
紙やカードを持って立っている人も譲ってもらっている人も見たことがある*4

今まで何とかやらずに来れていたけど、
やるとしか今しかないだろうなと思った。
天気とか腰の痛みとか、色んな理由をつけることはできたけど
もしも数年後の自分が今日とこの公演の存在について思い返す時
何よりも悔やんで許せないと思うのは、
プラカードを作って立つことをしなかった自分だと解ってたから。

どういう結果になったとしたとしても
後悔はしたくなかったし、特にやらずの後悔はしたくなかった。


だから、20日の深夜に数分おきに検索しながら
持って立つ用のプラカードを作った。
めちゃめちゃシンプルなど素人作である。
プラカードというか、画用紙だし。
死ぬほど神経使って書いた字のクオリティがこれなのでどうしようもない。
だけど、作った時点でもうやるしかないなという気持ちになっていたので
キツくてキツくてキツかったその先に全部取っ払って頭真っ白になる
ランナーズハイ?みたいな、とにかく何らかのハイになっていた。
ローを積み重ねた結果のプラカードハイである。


作り終わって身を清めなきゃなってお風呂はいって
軽く意識を失って(最近の退勤後の恒例行事)
お風呂から出て、iPhoneを開いたらDMが届いていた。

当日なので1時間以内にお返事がなければ
申し訳ありませんが、他の方にも声を…という文を読んだ瞬間に
ふやけた指で、震える手で
誤字をしないように一字一字打ちこんだ。


絶対に行くんだと思ってたけど、
思わないとどうなるか解らなかったけど
本当に、行けるんだ。


表参道駅について、待ち合わせ場所に行くために
地下鉄を出たら雪が降っていた。

雨は覚悟してたけど、雪が降るとは思わなかった。

でも真っ白い雪が降る中、私はここに立つだろうなと
思ったし、容易に想像することができた。


チケットを手に入場する人たちを横目に
精神がズタズタになって、むちゃくちゃに傷ついたとしても
少しの希望があるなら、そこに立つだろうなって。



実際に立ってたら15分もしないうちに、ベッショベショの
何が書いてあるのか、そもそも紙だったのか
分からないようなものになってたと思うし
それくらいの天気だったけど、
立っている人たちをみて、あの人たちは私なんだと思った。

人それぞれ事情があって、見た目だけでは分からない。

だけど、初めて「ほとんど」同じファンをみて
私でもあるんだと思った。




無事に入場して、席を間違えたりはしたものの
開演時間を迎えて、私はきっと
泣かないんだろうなと思っていた。


3人の姿に、MIKIKO先生の計り知れぬ思惑に
圧倒的なテクノロジーの進化に
言葉はもちろん全てのスイッチが押されきったまま、
停止してしまうんだろうって。



そして幕を開けた「Reframe」

正確には一番目ではないのだが、
最初の曲は「DISPLAY」だった。


私は基本的にあまりまじめに歌詞カードを見ない。


だからこの曲が収録されているシングル発売時から
割と直近までこの曲の歌詞を間違って認識していた。
いわゆる空耳というやつ。


新鮮な体験と共に
(連れて行ってその奥にDISPLAY)



(連れて行ってその国 DISPLAY)


ただの空耳といって仕舞えばそれまでだし、
気づいてからもこの曲が好きであることに変わりはなかったのだけど
私は自分の空耳に気づいた時、そこに
世界が変わる前の、Perfumeと出会う前の自分を見つけた。


毎日ここではないどこかへ行きたいと願っていた私。

そんな私を

想像じゃおさまらないほどに
(連れて行って僕たちのDISPLAY)


という歌詞のままに、ずっとずっと探していた"どこか"
「夢の中で描いていた場所へ」連れて行ってくれたのが3人だった。



"どんなに凄い技術でも、冷たく突き放されるような気がしないのは、沢山の人達の「手」が入ってるから。ステージから見えないところで力を尽くしてくれるスタッフさんと、想いを届けてくれるファンの皆がいるから温度があって温かい。"

のっち「テクノロジーは愛」

かしゆか「テクノロジーは積み重ねた想い」

あ〜ちゃん「テクノロジーは絆を感じるもの」


この日最後の3人の挨拶をまとめるとこんな感じ。


そして、

『テクノロジーとは、過去と手を繋いで
再構築した現在から無限に広がる未来』


3人の言葉を聴いて出た私のRe frameの答えがこれだった。



話が前後してしまうが、公演の終盤
「願い」という曲で様々な人の「未来への願い」が託された写真達が映しだされていく
モニターを背景に
ただシンプルに立って歌う3人、そして
続く「無限未来」をみて、私にとっては
3人の存在が、PerfumeというDISPLAYそのものが
「未来への願い」だと思った。


そしてこの日もやってくれた「シークレットシークレット」をみて

8年前、東京ドームで

「これは運命なんだね たしかにそんなようだね」

そう聴いた時の気持ちを、世界が変わったあの日を思い出した。


この日までに「ファン」という気持ちの上に乗っかりすぎた
色んな感情や年月や記憶、様々なもの。

そんな心を一回バラバラにして、
残ったのは、たったひとつだけ、「愛してる」

まさにそれを「Perfumeと私」を
「再構築」した、させてくれた公演だった。



この日のチケットを探していた時に、
DMやメールに必ず入れていた一文がある。

でも、それは入れようと思って入れたわけではなく
打った後にハッとするような、ハッとして
こんなブログまで書いてしまうような、
私にとってあまりにも呼吸に似た一文だった。


こういう日がくると思いもしなかったあれから8年経って、
私は自分の足で行こうと思えば
結構多分どこにでも行けるようになった。

だけど、「夢の中に住みたかった」私を
想像の追いつかない場所へ
誰もみたことのない場所へ
連れて行ってくれるのは
いつだって、この3人なのである。


やっぱり、望むようなファンにはなれない。きっとこれからも。

せっかく行けたくせにまともなレポも書けず、
考察する気力もなく、こんな非生産的なブログしか書けない、
どうしようもなく自己中心的でどうしても手前勝手なファンだ。

それでも、私を突き動かして、他にない感情を抱かせ、生かせてくれるのは
心から、なんの掛け値もなしに、こう言えるのは、
言わせてくれるのは、Perfumeしかいない。





"Perfumeは私の人生です。"








*5

*1:東京、ニューヨーク、ロンドンの 3 都市に分かれた Perfume メンバーのパフォーマンスを最先端の通信テクノロジーでタイムラグ無く同期させた新映像体験コンテンツ。https://m.youtube.com/watch?v=lgdASCXJjNk

*2:‪4/29(日)NHK BSプレミアムにて放送予定。https://m.youtube.com/watch?v=5WQZ_Q8e_pU

*3:そういう私を救ってくれたのがまた違うアイドルなんだけどそれを書くと書き終わらないので詳細を省く

*4:ダフ屋は除く

*5:使わなかったけれど、そのプラカードはまだ捨てていない。見るたびに、私はあの身を切るような寒さと「ほとんど同じ」の私を思い出すだろう。