希望と媚薬

ひとつだけその願いをいつも遠くで祈ってる「どうかいつも元気で笑っていてほしい」

そういつだって日々は泡のように

先月発売されたPerfumeの最新シングル
「If you wanna」

先日そのPVが公開された。


[MV] Perfume 「If you wanna」


見てもらえたら分かるけど、もうめちゃくちゃカッコいい。
リニアモーターガールやエレクトロワールドで提示してきた「近未来テクノポップユニット」というコンセプトに回帰しつつも自らそれを壊して、また新しい世界へ向かう3人の姿が描かれている。

Perfumeは「最新が最高」だと何回も言ってきたけど、やっぱりPerfumeは「最新が最高」だと思わせてくれるものだった。

 

ただ今回はこのPVの話がしたい訳ではなくて、
このPVの話もめちゃくちゃしたいしなんかロッキンオンみたいないい感じの感想とか書きたいんだけど多分それはロッキンオンとかナタリーがそこに任せて
今は「If you wanna」がSF的な世界で戦い続けPerfumeを更新し続ける3人のことだとしたら
その同じシングル収録されているカップリング「Everyday」、現実の世界で夢を見る3人の話がしたい。
http://j-lyric.net/artist/a04cc66/l0422e2.html


シングルが発売される前よりも先にPanasonicさんとのタイアップとして公開されていた


[MV] Perfume「Everyday」-AWA DANCE edit-


では曲のサビ部分しか使われていなかったので何度も聴いてはフルサイズを想像したけど
サビ前の印象的かつゆかちゃんのかわいらしい声で誘われるような「It's so happy」が表すように
ただ楽しいだけのライブで盛り上がれるハッピーチューンだと思っていた。
TOKYO GIRLぶりのシングル、今年はワンマンツアーがない分
新曲が2曲聴けるのもその特典であるPVも楽しみで早く見たくてワクワクしていた。

 

ピアノから始まるこの曲は、エモーショナルなのっちのソロで幕があがる。

 

あたりまえのことなんて
ないのに そうないのに
あるような気がしていたの

 

この歌詞を聞いたときはまるで頬を引っ叩かれたような衝撃があった。

 

そしてPVを見た時、初めに抱いた感想は「怖い」だった。

 

このPVは曲中繰り返される「Hour」が「時計」として全編を通して現れるのだけど
それと同じく象徴的なアイテムとして「泡」が出てくる。

 

泡に囲まれたステージに立つ3人と

 

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1人ずつ壊れた大きな時計を背負い

 

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台に置かれた小さな時計がある部屋にいる3人

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2つの空間にいるPerfumeが交互に現れる

泡に囲まれたステージではハイヒールで歌い踊っている3人、いつものPerfume

 

時計が置かれた部屋では1人ずつこちらを見つめて歌っているPerfume

時計の針はずっと進み続けている

 

いつものように3人で歌い踊っている泡に囲まれたステージで、
いつもと違うのは曲がサビに差し掛かった時

「It's so happy」で

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3人の脚はステージから浮き上がり、そのまま「フライング」する

 

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まるで何かから解き放たれたかのように
少し戸惑いながらも自由な鳥のように宙に浮いている3人はとても美しい

 

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そして2番、

あぁ足りないものなんて
ないのに そうないのに
見失いそうになるから


で、もう一つの空間
時計がおかれた部屋でも1人1人の背景にある時計が壊れるとともに3人は宙に浮かぶ

 

 

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泡に囲まれたステージに立つ3人との違いは表情も姿勢もずっと固定されたままで自分の意志で浮いているようには見えないところ。

壊れている時計に”浮かされて”いるようにも見える。

 

そして2番のサビに差し掛かった時

「It's so happy」の直前に時計が置かれた部屋で3人の「脚」は泡になる

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同じくその場所で時を刻んでいた時計も泡になってしまう

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その反面で泡に囲まれたステージで踊り続ける3人

 

宙を飛んでいる3人はもう戸惑いもなく幸せそうな笑顔だ

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そして最後の間奏でステージは暗転し、

それまでステージを囲み照明として機能していたはずの「泡」が光りながら3人に迫ってくる。

 

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3人はそれを跳ね返してまたステージは明るくなりPerfumeは踊り続ける。

 

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でもその裏で時計がある部屋も確かに存在したままで、

最後の最後はこの部屋で3人が宙に浮かんだままで終わる。

 

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小さな時計が「Perfumeのあ~ちゃんのっちかしゆかとしての時間」なのだとしたら
1人ずつ背負っている大きな時計が「西脇綾香大本彩乃樫野有香としての時間」なのかもしれない。


どちらの空間でも3人が何から解き放たれているのか、は分からない。


それでも「泡」を跳ね返して踊り続ける3人で終わらせなかったのは
この曲が「If you wanna」のカップリングである意味そのものでもあると思う。

 

この国でまだ浸透していないフューチャーベースを日本語にのせて最前線から届けるという
中田ヤスタカから(珍しく)明確な使命を受けて
それを表している「If you wanna」に対して
もっと内の内のファンに向けて届けているものに思えてしまう。

 

上記で「怖い」と書いたのは所謂ホラー的な恐怖ではなく、私の中にずっと存在している「ある恐れ」を言い当てられてしまったという意味での「怖い」だった。

 

 Perfumeをアイドルとするかアーティストするかは人それぞれだし本人たちも言っているように自由だ。
でも私にとって3人は、好きになった時からずっとアイドルだったし
私にとって生涯で愛すると決めた最初で最後の女性アイドルグループでもある。

 

このPVの中で私が1番怖かったのはも3人の脚が「泡」になってしまうシーンだった。

いくら踊る為にを開発されたハイヒールでも、アスリートのように鍛えられた脚でも
3人が立つのはSFの世界ではなく現実の固いステージだ。

どれだけの愛をもってしても変えられないものがあるとしたらそれは時の流れだろう。
いつか絶対に「その時」が来る。
 
それが視覚化されてしまったようなこのシーンが私はとても怖かった。

 

 


Perfumeといえば3人の息のあったダンス。そして美脚というイメージを持っている人も多いと思うけど
それはハイヒールを履くことによって更に増している。
伊勢丹とコラボして自ら「踊る為の」ハイヒールまで開発してしまうくらい
もうPerfumeのダンスとハイヒールは切っても切り離せないものだ。

 

自分が履くからより分かるんだけど、ハイヒールってめっちゃしんどい。
いくら慣れていても疲れるし、立ってるだけで辛いのにMC含め2〜3時間ハイヒールで歌って踊って喋るなんて信じられないと履くたびに思う。

実際に2013年にアルバムLEVEL3のプロモーションで出演したLIVE MONSTERで「ハイヒールで踊り続けるのってしんどくないですか?」という先輩ポルノグラフィティさんからの質問に

「ライブ後には氷水でアイシングしていたり、さいたまスーパーアリーナのように大きい会場で楽屋まで遠い時は椅子に座ってキャスター付きの荷台に乗せてもらい舞台監督さんに運んでもらったりしていた」と答えている。

それから2年後「裏側を見せるのが怖かった」という3人が
結成15周年、メジャーデビュー10周年というアニバーサリーイヤー2015年に公開した
Perfumeの3回目のワールドツアーに密着したドキュメンタリー映画
『WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』では密着した
実際にバケツに氷水をいれて脚をつけて冷やしている3人の姿が見ることが出来る。

 

 

 


そのアニバーサリーイヤーだった2015年に、私はこう書いている。

 

Perfumeが司会を務めていたMUSIC 
JAPANのPerfume歌唱回が当たって、1人で行ってきたんだけど

当然他のアーティストも歌うわけでたまたま
その回は女性アイドル大集合的な回だった。
モーニング娘。とかHKT48とか乃木坂ちゃんとか°C-uteさんとか、若くてキラキラのアイドルが沢山いて
実際にアイドル同士の座談会みたいな企画もあって。

もうずっっっと他のアイドルさんを見てたんだけど
確かNMB山田菜々さんが卒業する時で
MUSIC JAPANに出るのもNHKホールでパフォーマンスするのも最後!って言ってて。

そんな大事な場面で私なんかが見てるの申し訳ないなって思ったんだけど、パフォーマンスの前後のトークもパフォーマンス中も山田さんはずっとニコニコしてて、ただただ可愛かった。

あぁ、これが女性アイドルかと思った。

その後も°C-uteさんのパフォーマンス力の高さと鈴木愛理さんのあまりのキュートさにびびったり(本当に本当に可愛かった)

Perfumeの事務所の先輩、ポルノ兄さんのパフォーマンスを見れたり

長い収録だったので疲れたけど、とても貴重な時間を過ごすことができた。

で、本当に最後の最後に収録したのがPerfume

確かここが「Relax In The City」の初披露(収録)だった気がする。

先ほどまでの司会用の服から衣装に着替えて、疲れ気味の客席を一通り盛り上げてから始まったRelax In The City

新曲だから初めて見るダンスのはずなんだけど
ところどころあれ?って思う箇所があって
あぁ今までの曲の振り付けだなって部分が
普段ダンスとか詳しくないからふわっと見てる私にも分かるくらいあった。


「Relax In The City/Pick Me Up」はメジャーデビュー10周年結成15周年記念イヤーの初シングルってこともあって

勝手に「集大成」みたいに感じてしまって
めちゃくちゃ不安になった。

曲の最後、3人が客席に背を向けてゆっくり歩いて行った時
衣装や照明の雰囲気も相まって
そのまま手の届かない場所に消えてしまうんじゃないかって
いつかくるとは思ってたけど、もしかしてって。

くるとは思ってたとか言ってるけど、
Perfumeに限って本当に来るとは思ってなかった自分の甘さにも気づいたし
9月に武道館、10月に広島グリーンアリーナ
行われたアニバーサリーライブも
本当に死ぬほど楽しかったけど
どこかに不安があった。

でも広島でのオーラス。

最後の挨拶であ〜ちゃん
「求めてくれる方がいる限りこれからもPerfumeを続けようと、決めました」
ってハッキリと言葉にしてくれた時。

嬉しいのとホッとしたのと同時に

3人も不安に感じること、このまま進んでいくのか迷ったことがあったんだなって分かってしまって

自分の不安も間違いじゃなかったのとそれが除かれて安心したのとで涙が止まらなかった。

会場出て、恒例のアンケートにもブワァーって
「ありがとう楽しかった。ちゃんと言葉にしてくれてありがとう。これからもついていきます」のような事を書いた。(思いが溢れすぎていつも以上に字が汚かったと思う)

今思うと3人の覚悟に思い至らず
勝手に不安になって色々考えて
ほんとバーーーーーカって感じだけど
これからもRelax In The City聴くたびに
あの後ろ姿を思い出すし
あの時感じた気持ちも忘れたくはないなと思う。

 

 

 

 


後から知ったけど、この結成15周年メジャーデビュー10周年の節目の年に
3人とMIKIKO先生は「これからもPerfumeを続けていくか」の話し合いをしていたらしい。
そういう具体的な場がもたれていて、話し合った上で

あ〜ちゃんの「求めてくれる方がいる限りこれからもPerfumeを続けようと、決めました」に繋がっていた。


漠然とした不安は意外と漠然としてなかったりする。本音や痛みはいつも水面下に見えないところにいる。

何の根拠もないけど、ファンとしてずっと見ているから感じとれることもあるんだなと思う。

 

この2015年を受けて、去年のワンマンツアー

「COSMIC EXPLORER」はアリーナもドームも全国各地色んな場所へ遠征して出来る限りい参加した。


アリーナツアーで披露されていた「TOKIMEKI LIGHTS」の

 

いつか 失ってしまうのが怖いものほど
美しい きっと

 

の3人の美しい横顔を見るたびに、
私がいつか失うのが怖いものは今目の前にあるなと思っていた。

 


今年ツアーではなくPerfume FESが開催されて、後半の活動もワンマンではなくPerfumeFES第2弾と分かった時に「ただ3人に会いたい」って気持ちだけで
勢いで申し込んだ星野源さん回の大阪公演が当たって、2013年の開催から初めてPerfume FESに参加することになった。

 

 

2012年にPerfumeが参加したあるフェスでモッシュで死にかけてから完全にトラウマになり
ワンマン以外は行かないって自分で決めて守り続けてきたけれどもうそんなこと言ってる場合じゃないって、行くしかない、むしろ行くなら今しかないと思った。


ワンマンはないけどシングルは発売されるし
Perfume初めての挑戦であるドラマ「パンセ」も最高だったし
まだまだやってないことがあるんだ、まだ見たことのない3人を見られるんだ、今年はそういう年なんだって思おうとしていた自分を
2015年の私から「お前また忘れてんじゃねぇの?」って平手打ちされて目が覚めたような心地だった。

 

そんな気持ちを抱えて行った大阪では
久しぶりに3人に会うのだけでも凄く緊張したし
初めてのアーティストのライブを見ることも○年ぶりとかで始まる前も「ひらまさs…星野源さんのライブはどうやって過ごせばいいんだ…恋ダンスしか踊れないぞ…」って不安だったけど

実際にFESが始まったら全部どっか行って
源さんが来るたびに「わ〜〜!」って手振ってたり、揺れてるだけだったけどただ音にノるのがただただ楽しかった。

 

「初めて」に出会うのってこんなに楽しかったんだって改めて思ったし
念願の恋ダンスも見られて、コラボも最高で源さんのおかげでまた見たことのない3人が見られて何回心で拝んだか分からない。

 

3人の「好き」が引き寄せる力と、逆に「好き」を引き寄せる力の強さも感じたし
お互いにファンであり、アーティストとして惹かれ合っている両者のリスペクトが生んだ
音楽って楽しいなぁって心から思う特別な夜だった。

 

Perfumeの出番が来た時、きっと「Everyday」を踊る3人を見たら私は泣くんだろうなと思っていた。
Perfumeに会うと大体泣いてるし泣くとしたらそこだろうって。

でも3人のパフォーマンスを見たら泣くよりも自然に体が動き出していて「AWAダンス」を踊ってる自分がいた。

 

ああ、これなんだと思った。

 

先述したEverdayの

 


あたりまえのことなんて
ないのに そうないのに
あるような気がしていたの(Aメロ)

 

あぁ足りないものなんて
ないのに そうないのに
見失いそうになるから(Bメロ)


には、それぞれこう続く。


そうきっと儚い 時間(とき)を重ねて
笑顔を探している みんなで

 

I will always be with you 沿うメロディー
共に すい込むように
みんなで笑い合えるように


私はこの夜、まさに笑顔を探していたし
みんなで笑い合っていた。

 

そう、いつだって日々は泡のように儚く消えていってしまう。

 

だからこそ、こうして笑顔になれる空間を探しているし
その空間を3人とともつくりだす1人であり続けたい。


毎日毎日、怖がってはいられない。それでは前に進めない。

それに毎日毎日3人のことばかり考えてしまうこと、きっと3人は望んでないから。

 

でも絶対に忘れたくはない。後悔もしたくない。
あたりまえなんてなにひとつないことを私は
何度だって都合よく見失ってしまうから。

 

 

そして終わりのない旅にもいつかさいごの時がくるならば
私はその時に「ひとつも後悔なんてなかった」と言えるようにしたい。いや、する。


その時に、3人が何から解き放たれたのか分かるのかもしれない。